【ハイキュー!! 】黒尾くんのカノジョ【黒尾鉄朗】
第3章 ケジメの取り方
side.黒尾鉄郎
名前の天然ぶりに目眩を覚える。
俺はこいつをなめていた。
名前のいう好きは、さんまの塩焼きと同じレベルだ。
しかし、これはチャンスだ。
少なくとも名前は、俺を男として意識し始めた。
「名前」
「うん?」
「涙とまったみてぇだし、着替えろよ。俺、おばさんと話ってから」
「分かった」
「よし。いい子」
頭を撫でて、俺は部屋を出た。
そしておばさんに話をつけに行く。
俺が思うに、あの鈍感は周りを固めてしまえば話は纏まるだろう。
「おばさん、ちょっといい?」
「あら、どうしたの?」
「俺さ、名前をお嫁さんにもらいたいんだけど」
「あらぁ!やっと告白したの?」
「うん、まあ」
「あの子鈍いから大変だったでしょ?」
ニヤニヤと笑う名前の母は、俺の好意に気づいていたらしい。
鈍いどころか未だに勘違いしてるけどな。
「実はね、最近お父さんの転勤が決まったのよ」
「えっ?」
何それ?
転勤って…
名前、転校すんの?
「でも、てっちゃんが名前と結婚してくれるなら、一緒に住んでもいいわよね?」
「全然いい!寧ろ嬉しい!」
「良かったぁ。ほら、あの子人見知りじゃない?だから転校するの嫌だろうなぁって思ってたから、てっちゃんがいてくれるのは心強いわぁ」
俺は父子家庭で、母親の愛情というものを知らない。
それでもこの人は、俺を本当の息子のように可愛がってくれてた。
「おばさんには、いつもお世話になってるから、今度は俺の番だよね」
「ありがとう。てっちゃん」
「つーか、それ名前は知ってんの?」
「えっ?まだよ?」
はい。
出たよ。
天然似た者親子。