【ハイキュー!! 】黒尾くんのカノジョ【黒尾鉄朗】
第3章 ケジメの取り方
side.黒尾鉄郎
あーあ。
泣かせちった。
何やってるんだろう?
俺。
「煽り上手な黒尾くん」
研磨の事を持ち出したのは俺からなのに。
何だ、この様は。
名前が研磨ばかり頼るから、
それが気に入らなくて、
嫉妬して、
身勝手なキスをした。
俺がこんなんだから?
だから名前は俺を見てくれねぇの?
名前は小さい頃から俺たちのバレーを見てくれていた。
最後の春校。
せめて全国に名前を連れて行きたかった。
ただ支えて欲しかっただけなのに。
あいつは小さい頃から研磨の事ばかり気にかける。
俺だっているのに。
見苦しいって分かってる。
ヤキモチだって分かってる。
俺だって研磨は放っておけない。
放置すれば、また引きこもりがちになりそうだし。
ただもう少し、俺のことも…
いや、正直に言おう。
俺のことだけ見て欲しいんだよ。
気がつくと名前の家の前に立っていた。
無意識って怖ぇ。
とにかく、きちんと話がしたい。
泣かした事を謝りたい。
名前の顔を見て、好きだと言いたい。
今更になって緊張する。
これまでの関係は、今日のキスで自らぶち壊したんだ。
後悔なんかしたくない。
気を引き締めて、玄関のノブに手をかけた。
「おばさん、こんちはー。お邪魔してもいい?」
「あら、てっちゃん。いらっしゃい。名前なら部屋にいるわよ」
「うん。お邪魔しまーす」
名前、話聞いてくれっかな?
部屋の前に立ち、ノックをする。
予想はしていたけど、反応がない。
「名前?俺だけど、入っていい?」
「………やだ」
くぐもった小さい声。
きっと布団の中で泣いているんだろう。
「入るぞ」
名前の拒否は聞こえなかったことにした。