【ハイキュー!! 】黒尾くんのカノジョ【黒尾鉄朗】
第2章 変化のキス
「何で研磨?」
てっちゃんの声が急に低くなった。
えっ?
何か怒ってる?
私、何か気に触ること言った?
てっちゃんの顔が不機嫌になる。
「名前は昔から直ぐに研磨に相談するよな」
「んー。言われてみれば、そうかも」
「俺より研磨の方がいいの?」
「別にそういうわけじゃないけど。うーん…何だろう?研磨の方が___んっ」
私の言葉は、てっちゃんの唇によって遮られた。
“チュッ”
というリップ音と共に。
一瞬の出来事で、頭が追いつかなかった。
呆然とする私を、てっちゃんはギュッと抱きしめる。
「名前。たまには俺を頼れよ」
「………」
「俺のことだけ見ろよ」
てっちゃんは…
何故こんなに苦しそうに話すのだろう?
私はそんなに研磨ばかり見てた?
私はてっちゃんを蔑ろにした覚えはない。
ただ研磨はあんな性格だから、放っておけなかっただけで…
って、思い起こせば研磨贔屓だったかもしれない。
てっちゃんもお節介をやいて欲しかった?
「って、馬鹿ぁー!!」
“バチンッ”
頭が覚醒した私は、思いっきり平手打ちをした。
「いってぇ!」
「いったぁ!」
叩いた手が痛い。
苦痛と混乱で涙が出てきた。
「ファーストキスだったのにっ!!てっちゃんなんか大っ嫌いっ!!」
「ちょっ!名前っ!待てっ!」
てっちゃんの静止の声を聞かずに部室を飛び出した。
何っ!?
何なのっ!?
何でキスなんかするの!?
ありえないっ!!
てっちゃんの声、顔、唇に残った感触。
脳内がてっちゃんの事でぐちゃぐちゃになる。
何故だか胸も苦しい。
てっちゃんにキスされた。
なんて、研磨にも相談できない。
こんな気持ち。
知らないよ。