【ハイキュー!! 】黒尾くんのカノジョ【黒尾鉄朗】
第10章 好きだから
てっちゃんの言っている意味が分からない。
何でそんな切ない顔で見るの?
胸がギュッと締め付けられる。
「…私…シャワー浴びてくる」
かける言葉が見つからず、逃げてしまった。
お風呂に入り、てっちゃんの言葉を思い出す。
私は何故てっちゃんにキスをするのだろう?
お母さんに言われてるから?
違う。
それだけじゃない。
てっちゃんにキスしたい。
触れたい。
私は恋愛経験がないに等しい。
こんな不器用な私が、てっちゃんを幸せに出来るのかな?
自身がない。
もし、てっちゃんが他の人とキスしていたら…
私は悲しくて泣くだろうなぁ。
それでも我儘な私はてっちゃんに側にいて欲しい。
こんな私に愛想を尽かして、いつか離れてしまうのかな?
てっちゃんのいない未来。
そんなの…
嫌だっ!
ぽたぽたと雫を垂らしながら、てっちゃんを探す。
まだ部屋にいる?
「てっちゃんっ!」
「っ!?どうした!?」
「…私…私は…てっちゃんが好きっ!!」
「………」
「好き、なの。だから…」
喉が焼ける感じする。
言葉の代わりに涙が溢れる。
苦しいよ。
てっちゃんが好きだと、
側にいて欲しいと、
伝えたいだけなのに。
「俺も名前が大好きだよ」
お願いだから、その笑顔を絶やさないで。
ずっと私に向けていて?
言葉に出来ない気持ちを、てっちゃんに押し付けるように抱きついた。
「泣くなよ。名前」
てっちゃんは、私の瞼にキスをする。
この口付けは私だけにして?
大好きな人にキスができるのはとても幸せなことだ。
大好きな人にキスをして貰えるのは、とても嬉しくて、切ない事なのだと知った。