【ハイキュー!! 】黒尾くんのカノジョ【黒尾鉄朗】
第10章 好きだから
私の胸に顔を埋めて眠るてっちゃん。
相当、疲れてたんだろうなぁ。
何もしてない私でさえ、疲労が溜まってるし。
スヤスヤと寝ているてっちゃんの頭を撫でる。
何だろう?
愛おしい。
そんな気持ちが込み上げる。
これを愛っていうのかな?
私はまだまだ子供で、この気持ちが何なのか分からない。
でも、久しぶりに抱くこの重みが恋しかった。
てっちゃんの体温に包まれていると安心する。
疲れていたせいか、私も眠りに落ちてしまった。
「はっ!合宿!?」
がばりっと起き上がると、見慣れた自室にいた。
てっちゃんが隣で爆笑している。
「あ、そっか…。終わったんだ」
長いようで短かったなぁ。
って、しんみりしてる場合じゃないよ!!
「今、何時!?」
「もう朝の7時」
「えっ!?」
あれから、今まで寝てしまったのか。
「今日の練習は!?」
「ん?ああ。休み」
「良かったぁ」
ほっと胸を撫で下ろす。
「寝ちゃって、ごめん」
「いいよ。名前も疲れてんだろ?」
「うん。でも沢山寝たから大丈夫」
私は“チュッ”と、てっちゃんにキスをするとベッドを下りた。
さて、やる事が山積みだ。
「名前」
「ん?」
「今…何でキス?」
キョトンとした顔で、おかしな事を聞くてっちゃん。
「何で?って、お母さんに『キスしなさい』って言われてるから」
「それだけ?」
「えっ?」
今度は私がキョトンとしてしまうのだった。