【ハイキュー!! 】黒尾くんのカノジョ【黒尾鉄朗】
第2章 変化のキス
「よっこらしょ」
連れてこられた部室は、何とも形容し難い酸っぱい匂いがする。
いい加減ファブリーズ置きなよ。
あっ!!
さては、また掃除させる気か!?
この野郎っ!!
心の中で悪態をつく。
てっちゃんが主将になってから、度々部室の掃除をさせられいる。
前回キレイにしたのは3週間前。
なのに、もうこんな有様だ。
「臭い。汚い。嫌だ。帰る」
「まだ話してないから、だーめ」
脱走を試みるも、またまた呆気なく捕まり、ヒョイっと抱えられた。
てっちゃんの膝の上に、ちょこんと向き合うように座らせられる。
今日は掃除じゃないのか。
「話って何?」
「名前。お前、男にこんな事されてんのに随分とクールだな」
「クール?別にてっちゃんだし」
「…俺だけなら良いけどさ。他の男にはさせんなよ?」
てっちゃんの言っている意味が分からず、首を傾げる。
てっちゃんは良いのに、他の男はだめって何?
私の様子を見て、てっちゃんが盛大に溜息を吐いた。
全くもって分からん。
「それより話って何?」
「ああ。名前さ、ずっと俺と研磨のバレー見てきたじゃん?」
「うん」
「ボール拾いしてくれたり」
「うん」
「ルールも知ってるし、スコアもつけられる」
バレーの事は、全ててっちゃんに覚えさせられた。
「研磨のためだ」とか上手いこと言われて。
思えば、それに引っかかった自分が情けない。
ちきしょう。
「だから?」
いい加減、本題を言って欲しい。
「だからマネージャーやってくんない?」
「はっ?」
私の思考は一時停止した。