第1章 One Night…?
「冷めないうちに、どうぞ」
「いただきます…」
温かいお味噌汁が胃に染み渡る。
こんな風にゆっくり朝ごはんを食べたのは、随分と久しぶりだ。
「美味しいです」
「それはよかった」
私、呑気過ぎない?
優雅に朝食食べてないで、昨日の夜何があったのか、きちんと確認しておかなくちゃ。
そう思うのだけれど、切り出すタイミングが…。
清瀬さんも普通にごはん食べてるし。
作ってくれた朝食は量も味付けもちょうど良く、頭痛を誤魔化しながらも完食することができた。
お茶を淹れよう、と清瀬さんが立ち上がる。
このタイミングしかないと思い、勇気を出して事実を確めることにした。
「清瀬さん。昨日のことなんですけど」
「うん」
「私たち、あの…。大人の夜遊び的なこと、してしまったのでしょうか…?」
濁しつつも伝わるように恐る恐る尋ねる。
清瀬さんは、ニッコリと笑った。
怖いくらいの爽やかな笑顔で。
「凄かったなぁ、夕べは。女性にあんなにリードされたのは、初めてだよ」
消えたい…!!
いや、嘘だ…いくらなんでも誇張してる!
自慢じゃないけど、リードできるようなテク、私一切ないもん!
あー…でもそっかぁ…。
いや、きっとそうだろうな、とは思ったけど。
私清瀬さんのジャージ着てるし。
きっと致した後にシャワーでも浴びて、その時にジャージを貸してくれたんだろうな…。
ああぁぁ…お酒の勢いで男の人と関係をもってしまうなんて、初めて…。
「まあ、昨日はだいぶ酔っていたみたいだからな。風見さんも覚えていないと言うし、改めてこれからのことを話そうか」
「はぁ」
「俺の気持ちは、昨日言ったとおりだ」
「すみません、何を言われたのか…」
「わかっている。もう一度言おう」
清瀬さんの視線が、改めて私を射抜く。
「風見さつきさん。俺と、付き合ってくれないか」