第6章 月夜に色づく ※
こういう雰囲気になった途端、我先にと下着をずり下げて性欲を押し付けてくる人も過去にはいた。
関係を深めたいわけではなく、セックスが最終目標かのように身勝手な男と付き合ってしまったこともある。
そんな男を知っているからこそ、ハイジさんのこの触れ方は、すごく心地いい。
欲望に忠実に。
けれども触れる手は優しく。
一枚ずつ丁寧に皮を剝いで、女にさせられていく感覚。
大好きな人に抱かれるのだと、幸福感が満ちてくる。
遂には下半身に纏っていたものも全てなくなる。
ハイジさんも同じく、私の前に素肌を晒した。
陸上選手ではなくとも、細身ながら引き締まっている。
現役の頃の名残だろうか。
または、今も筋トレを続けているのだろうか。
そんなことを考えた。
しかし次の瞬間目の前に現れたものに、思考は飛ぶ。
ハイジさんのソコが猛々しく天井を向いて……
「……」
反射的に目を逸した私を見逃さなかったらしい。
「いいよ、見ても」
「へ…」
「俺も見るから」
「なに、やっ…!」
足をそっと開かされ、ハイジさんの前に秘部が露わになる。
「見ないで…!」
咄嗟に掌でハイジさんの両眼を覆う。
抵抗したところで強行突破されそうな気もするけれど、抗わずにはいられない。
ふっ、と膝が軽くなった。
抑えられていた手が離れたのだ。
ハイジさんは私を抱きしめ、愛撫のような口づけを落とす。
「知りたいんだよ。さつきのこと、全部」
「でも…」
「どこが気持ちよくて、どんな顔をして、どんな声で啼くのかを、知りたい」
「……引かれたら、嫌」
「引く?俺が?あり得ない」
問答無用で乳首に吸い付く。
乳輪ごと口の中に含んで、唾液を絡ませて。
こんな風に気持ちよくさせられたら、身を預けるしかなくなる。
「魅惑的で官能的で、既にどうにかなりそうなのに」
そう言いながら、勃ち上った肉棒を自ら擦り始めた。
エロス全開のハイジさんを目の当たりにして、何かが切れた。
私の体を使って、自身を慰めている。
こんなにいやらしく乳首にしゃぶりついて。
「もっと舐めて…」
「はぁ…、気持ちよさそうに膨らんでる…」
私の知らなかったハイジさんがいる。
爽やかな顔の下に潜ませた、男の性。
戸惑うなんて気持ちはまるでなくて、むしろ……。