第6章 月夜に色づく ※
ハイジさんのキスが、首から耳にかけて行き来する。
滑らかな手つきでパジャマのボタンが半分外され、肩がはだけた。
「ん…」
「さつきのここ、好きだ」
微かに吸い付きながら、うなじ、そして徐々に肩のラインへと唇は降りてくる。
「この前のデートの時もそう思ってた。白くて華奢で、無防備で……」
一緒に服を選んでくれた友人の思惑は成功していたのだと、今になって知る。
あの時のハイジさんが、そんな風に私を見ていたなんて。
「はぁ…、色っぽい。欲情する」
何てストレートに物を言うんだろう、この人は。
その言葉だけで赤面してしまう。
しかし赤面したくらいでどうこう言うつもりは、もうないらしい。
ハイジさんの手が先を急く。
ボタンを全て外してパジャマが取り払われ、下着姿を晒した。
手も唇も休むことを知らない。
胸元に何度もキスをされている合間に、指がホックを外す。
大きな掌が私の胸をすくって、揉み上げた。
一時、我にかえる。
形も、感触も、頂の色も、全て知られてしまった。
てっぺんには触れないまま、ハイジさんの手は繰り返し乳房を弄ぶ。
「ハイジさん…、やっぱり明かり、消して…?」
「どうして」
「恥ずかしい…」
見下ろした胸の先は、何かを待ちわびるように主張している。
こんな私さえもハイジさんに見られているかと思うと、途端に羞恥が襲ってくる。
「綺麗だよ」
指を沈ませる手はそのままに、優しいキスが降る。
「そんな…」
「恥ずかしいところも、見せて」
「んっ、あぁ…っ」
先端に舌が絡まった。
ついさっきまで私の口内を蕩けさせていたそれが、乳首を舐り弾く。
「あっ、や、そこ…」
やだ…私ってば。
口では恥ずかしいなんて言いながら、しっかり快感に浸っている。
それどころか、もっと欲しくて背中がしなる。
恥じらいと欲望とのせめぎ合い。
つい数分前ハイジさんは、暴走しそうだ、と口走った。
それはてっきり、独りよがりなセックスをしそうだ、という意味合いだと思っていた。
けれどそうではないと、ここに来て気づく。
まるで、私を気持ちよくすることに没頭しているみたい。