第1章 One Night…?
「2軒目に飲みに行ったあと、カラオケに行って、その流れでゲームセンターへ行って、諸々ゲームを楽しんだあと締めにプリクラを撮ったんだ」
高校生のデートじゃないんだから…!
ゲーセンって…。
「それ、私が行きたいって言ったんですね?」
「ああ」
「すみません」
「俺は中高ずっと部活ばかりだったから。ゲームもプリクラも新鮮だったよ」
「そうですか…」
「風見さんがリードしてくれたから、楽しめた」
「はぁ…」
……ん?
リードしてくれて…?
『凄かったなぁ、夕べは。女性にあんなにリードされたのは、初めてだよ』
今朝の清瀬さんの言葉が脳内を駆けめぐる。
もしかして…もしかして…。
「私がリードしたことって、まさかゲームですか…?」
「ああ。格闘ゲームとか釣りのゲームとか。あとは…そうだ、太鼓のやつ。あれは凄かったなぁ。周りにギャラリーまででき始めて…」
ひぃぃ…っ!!
いい歳の酔っ払い女が本気で太鼓の達人とか…!!
イタいよぉ…イタすぎる!!
「あの!!確認なんですけど、私たちがシたことって、それだけ…?」
「それだけだ」
「アレは?」
「 "アレ" ?ああ、セックスのことか」
「キ・ヨ・セ・さんっ!?」
慌てて周りを確認する。
こんなこと誰かに聞かれてたら…
「大丈夫。みんな帰ったよ」
完全にからかわれてない?私。
「セックスならしていない。ゲームセンターを出た時点で、君は眠いと言って地面に座り込んでしまったんだ。風見さんの家もわからないし、やむ無く俺のアパートへ連れてきたんだよ。ジャージを渡したら自分で着替えて、すぐに爆睡してしまった」
「それに関しては、本当に申し訳ありませんでした」
「いいえ」
「でも、騙すなんて酷い!」
「別に騙してたわけじゃない。風見さんだって、踏み込んで聞かなかっただろう?」
「それは…、ワンナイトなんてしたことなかったからパニックに陥ったというか…」
正直、ホッとした。
いくら精神的に弱っていたとしても、その場凌ぎで男性に縋るような思考には陥っていなかったということだ。