第1章 変わらないもの、変わっていくもの
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その証拠に
はしゃいで走り回っていたのはほんの数分で
僕らは直ぐに息が上がってしまって、二人して膝に手を置き、肩で息をし出した
「…はー…はー……いやぁ、体力落ちたわぁ(笑)」
「…はぁー、…はぁー、……しっかりしろや、元サッカー部(笑)」
「…はー……お黙り、元バドミントン部(笑)」
「ははは……お互い、もうトシですな(笑)」
「やめてよ智くん、それでなくてもあーたジジ臭いんだから(笑)」
「やかましい(笑)」
冗談を言いながら休んでいた僕らの息が落ち着いて来たところで
僕らはまた歩き出した
「………明日、何時だって?」
歩きながら僕が言うと、翔くんが、微妙な顔をして笑いながら答えた
「……昼くらいだよ」
「なんだよ、くらいって」
「良く解らん……昼くらいにうちに来るって言ってたからさ」
「…仲人さんが?」
「いいや、見合い相手が。」
翔くんはそう言うと、情けなく眉を下げて肩をすぼめた
「ウケんだろ、自宅で見合いするんなら、すっぽかさないだろうからとか言ってさ
…普通しないっしょ?自宅で見合いなんてさ(苦笑)」
そう言って笑う翔くんの顔は
ちょっぴり、引きつっていた
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