第6章 ホテル
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「へぇ、やっぱ部屋綺麗だなぁ」
「でしょ~、高い部屋じゃなくてもこのクオリティーだからね
スイートとか、めっちゃ豪華だよきっと」
部屋に入った僕は
うろうろと部屋の中を見て回った
「お~、トイレビデがついてんぞ、ビデ」
「…智くん、何に食い付いてんのよ、あなたそんなもん使わないでしょうがよ」
落ち着きなく
部屋のあちこちを行ったり来たりして
「あ、シェーバー一個しかないよ?
二人で使う?」
「いや、俺自分の電気シェーバー持って来てあるから、智くんそれ使って良いよ」
部屋にある備品を弄って
「そう言えば浴衣とか無いのかなぁ
俺、着替え持ってねぇけど」
「旅館じゃあるまいし浴衣は無いでしょうよ
…あ、ほら、バスローブはあるよ」
得も言われぬ緊張を
誤魔化していた
「裸にバスローブとか言ってエロくね?(笑)」
「エロいねぇ(笑)」
「………」
「………」
急に訪れる沈黙
「………」
「………」
君の手が、僕の肩の上に置かれる
「………」
「………」
僕は、無言のまま
ゆっくりと、目を閉じた
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