第3章 僕の秘密
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「………抱かれた、って………
自棄になってって、それは、どう言う……」
頭の上から聞こえる君の声が
震えてる
「どうもこうもないよ
だからさ、もう、絶対に手が届かなくなっちゃう人の為に、ヴァージンを守り続けてんのがバカバカしくなっちゃってさ
そんで、ヤケクソでヤったんだよ
…知らん男と。」
「………………」
絶句する君の喉が
再びごくりと鳴る
「………引くなって、言ったろ」
「………引いてないよ」
震えてる
声も、体も
「………嫌いにならないって、約束したろ」
「………嫌いになんてなってないよ、約束はしてないけどさ」
震えてる
君も、僕も
「………じゃあ、呆れたろ」
「………呆れてなんかないよ、ただ…」
同じ気持ちを抱えていた
君と僕
「………ただ、何だよ」
「…………………切ない。」
「……………」
悲しげな君の声に、顔を上げると
僕を見詰める君の眼に、涙が浮かんでいるのが見えた
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