第3章 僕の秘密
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その日の朝
僕は出掛けに母親から君の見合いの話を聞かされた
僕の気持ちなんか知りもしない母は、やたらに楽しげにその話を僕に告げた
見合い写真を見せてもらったけれど、凄く綺麗なお嬢さんだったとか
お茶とお花なんて、今時の娘さんにしては古風なお稽古事をしているらしいとか
…見合いの席についたらもう、結婚は決まったようなものだとか
朝っぱらから知りたくもない情報を吹き込まれた僕は
どうしようもなく落ち込んで、ムシャクシャしていた
そんな晴れない気持ちを持て余した僕は、その夜
二丁目の、所謂『盛り場』に行った
そこで、浴びるように酒を飲んで
そして
その日初めて会った見知らぬ男とホテルへ行き
そいつに抱かれた
ずっと、ずっと
君の事が好きだった
君の為にって
ずっと守り続けて来た貞操だった
それを僕は、その日
自棄になって、見知らぬ男に奪われてしまったのだ
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