第3章 僕の秘密
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何かあったのかと言う君の問い掛けに
僕は何も答える事が出来なかった
だって僕は…
…僕は…
「………もしかして、なんだけど………
…智くんにも、出来たんじゃないの?
好きな人」
強く強く、僕を抱き締めた君の腕が
震えている
ああ、同じだ
今の君は
今さっきの僕と同じ気持ちなんだ
そう、思った
「……………俺の秘密」
「え?」
「……………俺の秘密、聞いても…引かないって…
…俺の事、軽蔑して嫌いにならないって、約束しろ」
「はは、それ強制なんだ?(笑)」
君と同じことを、強要するような口調で言う僕を、しっかりと抱き締めたまま
君が笑う
僕は、そんな君の背中に腕を回してその体を抱き返すと
消えてしまいそうな程に、小さくなってしまいそうな声を振り絞って言った
「………翔くんがね、誰かと結婚しちゃうって思った時
俺ね、自棄になってね
知らない男に抱かれたんだ」
「……………」
僕を抱き締めた君の腕が弛んで
頭の上で君の喉がごくりと鳴るのが聞こえた
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