第2章 君の秘密
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「……本人にも、って……相手の子は、結婚したくないって言ってんの?」
その熱い視線に戸惑いながら、また僕が訊くと
翔くんは、少しバツの悪そうな顔をしてそれに答えた
「さあ、結婚したくないとは言ってねぇけど
今さっき嫁に来てくれって言ったら、俺男だぜって思いきり拒否られたな。」
「え……?」
君の手が、ゆっくりと僕の方へ伸びて
濡れた僕の頬を
優しく拭う
「……俺ね、気付いちゃったんだよね
俺、女じゃだめなんだ
いや、男が好きって事でも無いんだけど…
…俺、智くんが良いんだ…智くんが、好きなんだ」
「……………」
頬を優しく撫でていた君の手が、僕の肩を抱き
僕の体を、君の胸に抱き寄せる
「……俺さ、彼女出来ても長続きしなかったじゃん?何時も
自分でも何でだか解って無かったんだけどさ
気付いちゃったんだよね、俺、智くんでなきゃダメなんだっ、て…
だから、結婚出来ねぇの
…………それがね、俺の秘密。」
君の、甘く切ない溜め息が
夜の静寂に、静かに響いた
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