第2章 君の秘密
.
本当は
君の秘密なんて
聞きたくなんかなかった
だって僕には、その秘密に心当りがあったから
そして
もしもその心当りが正しかったら
それは
僕が一番知りたくない情報だったから…
翔くんは
彼に見合い話が来るようになってから
彼女の存在を感じさせなくなっていた
それまでは
すぐに別れてしまうとは言え、常に彼女の存在が見え隠れしていたのに
30を過ぎた去年あたりから
彼女が居る素振りを見せなくなっていたのだ
その意味する事は、なんなのか
彼が、頑なに見合い話を断りボイコットするのは何故なのか
その答えが
彼の言う秘密であるに違いないと、僕は思っていた
そして、恐らくそれは…
…それは…
「…………どうせならさ、駆け落ちしちゃえば?
居るんだろ、本当は…
…結婚、したいって思ってる人。」
僕は、零れ続ける涙を手の甲で拭って
真っ暗な地面に視線を落としたまま
ボソッと呟いた
.