第9章 歪想 (羽宮一虎 / 場地圭介)
キーンコーンカーンコーン
昼休みを告げるチャイム。
「おはよ〜」
『ちょっとカズくんもうお昼だよ』
「あー?来ただけ偉いっしょ。
それより、なあ昨日の話考えてくれた?」
『本気で言ってるの?無理だよ私。』
「やだ?」
『嫌!』
昨日と同じくカズくんに背を向ける。
定期的にほっぺたがぶたれて赤くなるカズくん。そういう時は決まって女の子関係のトラブル。いつも取っかえ引っ変えしてるから、いつか恨まれて刺されるんじゃないかとヒヤヒヤしている。
本当に心配しているのに。
「じゃあが相手してよ」
なんてふざけたこと言って。
あれ…でもこのときカズくん笑ってたっけ。
結構真剣な顔してた…かも。
いやでも、だからなんだって言うの。
あんなこと言ってきて…許さないんだから。
『あ、圭介くんいた!』
「あ?か?どーした」
『ごはん一緒に食べよ?』
「おう、あれ一虎は?」
『カズくんなんて知らないっ』
「喧嘩か?んまぁいっか。飯くおーぜ」
『うん』
今も昔も変わらずそばに居てくれる人。
圭介くんはずっとずっとそばにいてくれた。
どんなに荒れてた時期も変わらなかった。
私が風邪をひいたら飛んで来てくれるし
ホラー映画を見て寝られないと言ったら
朝まで一緒に寝てくれる。
もう解散してしまったけど東京卍會は素晴らしいチームだったと思う。圭介くんもカズくんもあの頃の話をするときは目が輝いている。だから2人の話を聞くのが大好き。何回か集会ってやつに連れて行ってもらったけど、話してみたら皆いい人だったのを覚えている。
『ねぇ私圭介くんと同じクラスが良かった』
「行きも帰りも一緒なのにか?」
『うん、クラスも一緒が良かった
去年だって別々だったのに今年まで…』
「ははっ来年は一緒だといいな?」
『うん、来年は絶対に一緒がいいな』
「あ、これ俺が好きなやつ〜もらいっ」
『あ!ちょっとカズくんいつの間に!』
「よぉ一虎ぁ」
「よっ」
ひょいっと伸びてきた手が私のお弁当箱からおかずを奪った。いつの間にやってきたのか私と圭介くんのくっつけた机に自分のお弁当をドン、とおいて食べ始めるカズくん。