第9章 歪想 (羽宮一虎 / 場地圭介)
「あ、俺今日一緒に帰れねぇんだった」
『どうして?』
「なんか補習?ってやつがあっから
残れって言われててよお」
『え、ねえ進級できるよね?大丈夫?』
「あ?できなきゃやべえよ
お袋が泣く…」
『涼子さん泣かせないでよね本当に…』
「場地ってなんでそんな頭悪ぃわけ?」
「俺が知りてぇよ」
『ちょっとカズくん…』
ほんとにデリカシーの欠片もないんだから。
…今日はカズくんと2人かあ。
あ、でも女の子と帰るかなあ。
まーなんでもいっか。
たまには1人で帰るのもいいよね。
『そろそろチャイムなるから戻るね
ほらカズくんも行くよ』
「ん、じゃーな場地」
「おう、じゃーな」
圭介くんのクラスからでて私たちは教室へと戻る。私とカズくんは同じクラス。圭介くんも同じなら3人一緒だったのになぁ。
「なあ」
『んー?』
「帰りにクレープ食いに行かね?」
『いいね、賛成っ』
「なんか久々甘いもん食いたくてよ
女子いなきゃ行きずれぇからな」
『仕方ない!付き合ってあげよう!』
思えばカズくんと2人きりで寄り道なんて
凄く久しぶりな気がする。
いつも必ず圭介くんが一緒にいるから。
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あっという間に帰りのHRの時間。
私の頭はクレープの事でいっぱいだった。
よし、終わった今日も一日頑張った!
クレープ!いくぞ!
『カズくん早く帰…っ』
「羽宮先輩♡今日の約束忘れてないですよね?
今日は私の家来てくれるんですもんね?」
ひょこっと現れた1年生の女の子。
カズくん後輩にも手だしてたんだ…
そんなことより先約があったんだ…。
まあカズくんの事だから予感はしてたけど。
一緒にクレープ食べるの楽しみだったのにな。
「あ?そーだっけ?忘れてたからナシで。
てかもう今後一切ナシで。」
「えっ!どうして!
私すっごい楽しみにして…「だから?」」
「え…?」
「それ俺に関係なくね?悪ぃけど他あたって」
「ちょっと先輩!」
また今度でいいか、と教室を出た私を追いかけるようにカズくんがこっちに向かって歩いてくる。それを追いかけてきた女の子がカズくんの腕を捕まえた。
「もう遊ばねぇつってんだよ
しつけぇぞブサイク」
『ちょっとカズくんその言い方!』
デリカシーの欠片もない!
女の子に向かって最低!