ヴォード家に嫁ぎました!【ブラッククローバー / R18】
第4章 秘密の共有※
────次の日
わたしはフィンラルさんと王都に食事に来ていた。わたしがリラックスできるように、と高貴すぎないレストランを選んでくれた。
1日経ってもランギルスさんにつけられた首のアザが消えなくて、露出の少ない首元の隠れるドレスを着るしかなかった。いつになったら消えるのだろうか、と思った。このアザを見るたびにあの日のことが頭によぎってしまう。フィンラルさんと食事に出かける前、すでにランギルスさんはどこかへ外出していて不在だった。
食事のあと、買い物をしたり喫茶店でお茶をしたりしていると、いつの間にか陽が傾きかけていた。段々とオレンジ色の混ざり始めた空を見て帰りましょうか、と切なげにフィンラルさんは言った。
「今日は連れ出してくれて、ありがとうございました!お食事もおいしかったですし、本当に気晴らしになりました。最近、少し疲れていたみたいです……」
「ミライさんがそう言ってくれてよかった……いつでもいっしょにお食事に行きましょう!俺もミライさんと過ごせて幸せです……」
帰り際に紅茶が好きなわたしは、立ち寄った紅茶のお店でフィンラルさんに茶葉を買ってもらった。帰りたくないな、と名残惜しく思いながら帰路についた。あっという間にヴォード家に着いて、フィンラルさんと話しながら廊下を歩いていた。
「フィンラルさんが買ってくれた紅茶、早く飲んでみたいな……夜のお食事のあとに中庭で早速淹れますね?」
「楽しみにしてます!」
2人で紅茶を飲む約束をしているとき、ランギルスさんがわたしたちの横を通りすがった。ランギルスさんはこちらを見るわけでもなく、いつもの態度だった。変に意識してしまい、胸がドキドキして顔が熱くなってくる。
「ミライさん?顔が赤いですけど、大丈夫ですか?もしかして熱かな?」
フィンラルさんはわたしの額に手を当て、真剣な表情でわたしの顔を覗き込む。わたしより背の高いフィンラルさんを見上げると目が合って、恥ずかしくなってしまった。距離が近くて心臓の音が聞こえてしまう気がした。
「あ、あの……大丈夫ですから……」
フィンラルさんはわたしの額から手を離すと、わたしの顎をくいっと掴みその瞬間に唇が重なった。
……え?わたし……キスされてる?突然の出来事に思考が追いつかない。