ヴォード家に嫁ぎました!【ブラッククローバー / R18】
第7章 涙の行方※
ランギルスさんがわたしの方に向いた。
「僕もミライさんといっしょにいたいです」
ランギルスさんにそう言われて、わたしは顔が熱くなる。ただでさえ、お酒のせいで熱っているのに。流されたくないのに、ランギルスさんの言葉や行動にいちいちドキドキしてしまう。楽しくてランギルスさんがわたしに笑いかけてくれて、ありのままでいてくれる。それがすごくうれしかった。
バーを出るとランギルスさんはわたしの手を引き客室へと向かった。
「お湯ためてきますね?」
部屋に入るなりわたしがそう言うと、ランギルスさんはわたしの手を引き抱き寄せた。ランギルスさんの匂いと体温にどうしようもないくらいにわたしの身体が疼いていた。
「…兄さんを選ぶから、僕のことはもう嫌いになったんですか?」
ランギルスさんは消え入りそうな声だった。抱き寄せられている状態でランギルスさんの顔色は見えない。けれどわたしを抱く腕は少し震えていた。わたしはランギルスさんの腰に手を回し、ぎゅっと抱きしめた。本当の気持ちを話そうと思った。
「…フィンラルさんの告白は断りました」
「どうしてです?」
「…ランギルスさんのそばにいたいからです」
「……」
「わたし…ランギルスさんのことが…好きです」
そう口にしたとき、目尻から涙が溢れて頬を伝った。ランギルスさんが震えるわたしの身体を離し、向き合って顔を見る。わたしの涙をランギルスさんがその細い指で拭った。その手で顎を掴み、キスをした。
「僕も好きです。ミライさんのことが。何年も前からずっと好きです。」
そう言われ、わたしはうれしくて瞳からは大粒の雫が垂れ落ちた。
「僕はこのままだとヴォード家を継がなければならない。ミライさんは兄さんといた方が幸せなんじゃないかと思ったんです。最初にミライさんに近づいたのは、兄さんへの当てつけのつもりでした。それでもミライさんは本当の僕を受け入れてくれて、分かってくれましたよね…僕はそれがうれしくて」
ランギルスさんからそう言われ、今まで考えていた悪い想像が全て消え去っていく。
「僕と婚約前提で付き合ってくれますか?」
「…はい、もちろんです」
そう返事をすると、ランギルスさんはわたしをベットに押し倒した。