第1章 トリップした先は・・・
夢か現かはおいておいて、私はどうやら聖女として召喚されたらしい。この世界はいわゆる剣と魔法の世界のようで、近年世界樹が淀んで魔物の発生率が増えたのだとか。そこで伝承通り、異世界のから聖女を呼び寄せたという。なんというありきたりのテンプレ。
今私は着替えを貰い、部屋に通されている。
「様のお力が必要なのです」
「でも私、あまり運動とかも得意じゃないですし、闘いとかはできませんよ?」
そういうと色々と説明をしてくれた神官のおじさまのローティーさんは不思議そうな顔をして、クスリと笑った。
「様を戦わせたりなんてとんでもない。世界樹の浄化をしていただきたいのですよ。お願いできますか?」
あ、そういうやつね。よかった、そっちの方のテンプレで。たとえチートとかになっても一般人の私が魔物と戦うとか絶対嫌だしね。
「よくわかりませんけどできる範囲でなら。」
そういうとローティーさんは目を輝かせた。
「ありがとうございます!では本日はお疲れでしょう。突然召喚してしまい申し訳ありません。今日はゆっくり体を休めてください。」
「え?あ、はい。」
ローティーさんは部屋を出て行って、代わりに15歳くらいの少年が部屋に入ってきた。
「聖女様のお世話いたしますリルと申します。なんでも仰せ使ってください。」
「え?あ、うん、よろしくね?」
侍従的なものなのだろうか。私のイメージではメイドさんとかな気がするけど・・・まあいいか。夢だし。
「しばらく休んでいい?疲れちゃってて・・・」
「もちろんです。お疲れならマッサージでもいたしましょうか?」
「え?いいの?」
すごく嬉しい申し出だ。もう、首と肩がガチガチで痛いくらいだ。少年に任せちゃお。
すぐに寝れるようにとバスローブを渡されそれを下着の上にきる。
「じゃ、お願いします。」
「はい。では、うつ伏せになって頂けますか?」
リルがそういうので、天蓋付きベッド(この部屋は私のために用意された部屋らしい)にうつ伏せになる。カタカタと音がしたな、なんて思うとふんわりいい香りがしてきた。アロマを炊いてくれたみたい。なんて気が利くんだろう。
「リラックスしていただけそうですか?」
「うん。いい香り。ありがとう。」
「いえ。何かリクエストがあれば遠慮なくおっしゃってくださいね。・・・では、始めます。」