第1章 トリップした先は・・・
「ああ、クタクタだ・・・」
仕事から帰り、私はベッドにダイブした。シートで化粧だけ落としてしまおう。シャワーは明日浴びればいいか・・。今日はもう充電切れです。
日々の激務で私は心身ともに疲れ切っていた。大好きな乙女ゲー(もちろん18禁)をする暇もないし、彼氏もしばらくいない。
「あ〜〜・・・すっごいイケメンとすっごい気持ちいいセックスする夢が見れますように!!」
そんな下品な欲望に塗れながら私は目を閉じた。しかし当然のように、そんな夢は見れなくて、代わりに課長が書類を持って追いかけてくる夢を見て、私は最悪の気分で目が覚めた。
「夢の中でも仕事仕事いわないでよ・・・・」
朝の第一声がこれだ。とりあえずシャワーを浴びて、洗面所にタオル一枚で出る。
「はあ・・・・」
そう、ため息をついた時だった。
洗面所の鏡が突然に輝き出し、訳もわからず目を瞑る。
「やった・・・!!」
「成功だ!!」
???
突然周りが騒がしくなる。目を開けてみると、私はRPGに出てくるようなお城の広間にいて、周りには大勢の人がいた。
「・・・え?」
訳がわからない。
「聖女様!お加減は?ああ、もしやご入浴中でしたか?それは申し訳ないことをした・・・おい!早く魔道士を!」
???
神官のような優しそうな素敵な感じのおじさまがそう声をかけてきた。そして私はハッとしたバスタオル一枚しか身につけていないのだ。
「っ!?!?」
万が一落ちてしまってはスッポンポンなので、そんなことにならないようバスタオルを強く握って体から離れないよう押さえつけた。
「聖女様!こちらを羽織ってくださいませ。」
先ほどの神官が呼び寄せた男が暖かそうなローブをかけてくれて、私の頭に手を近づけた。すると、頭がフワッと軽くなり、感じていた水の冷たさがどこかへ消え去った。髪が一瞬にして乾いたようだった。
「???」
もう訳がわからない。私ってば、まだ夢の中にいるようだ。
「では、聖女様、色々とお尋ねしたいこともあるでしょうから、まずはこちらでゆっくりお話しでもしましょう。」
で、その聖女様ってなんですか?