第2章 まずは仲良く
「聖女様、殿下方も。こちらにお掛けになってください。」
ただいま私、なぜか王子様たちと一緒に魔道騎士団の訓練を見学中です。用意されたのが、椅子ではなく3人掛けのソファで、両脇に王子様がかける形となったが・・・近い。
近いって言うより、二人とも私に寄り添ってない?王子を侍らす希代の悪女みたいになってない!?
「様は魔法が身近ではなかったでしょうから、僕らが説明役に適任だろうと参ったのです。お嫌でしたか?」
ぎゅっと左手を取られて、ウルウルとそう発言するマクス王子に、これは卑怯だと心の中で叫ぶ。嫌なわけないです。両脇からものすごくいい匂いがします。
「ほら、始まるよ。様はわからないことがあったらなんでも聞いて。俺も兄さんも、時々彼らの訓練に混ぜてもらうから答えられると思う。」
「ルカはサボってばかりいただろう。鍛錬も王族の務めだとあれほど父上が行っていたのに。」
「様の前でそれを言うなよ!」
この二人すごい仲良しなんだな。なんか尊いな・・・・。
「聖女様、マクス殿下、ルカ殿下、お飲み物をお持ちしました。」
「ありがとう、リル。」
普通にお礼を言うと、左のマクス王子がしょんぼりした。どうしたんだろう。違う飲み物が良かったのかな?
「・・・リルにはとても気安くお話しされるのですね・・・」
「え?」
「確かに兄さんのいう通りだ。・・・聖女様、俺たちにもリルにするように話しかけてほしい。」
「えーと、王子様たちに敬語を使わないでほしいということですか?」
そう尋ねると二人は頷いた。聖女って王子にタメ口きいていいのか・・・。
「わかりま・・わかった。年も近そうだし、私もその方が気楽だからそうするね。だから二人も敬語も様付けもしなくていいよ。私、そういう扱いに慣れてないしね。」
正直、リルにしか砕けた態度を取れていなかったので、堅苦しいと思わなくもなかったから、いい機会かもしれない。相手が王子ということはまあ気にしないことにしよう。
二人とも嬉しそうにして、両サイドから私を抱きしめてきた。ちょ、ここ公の場ですよ。
「嬉しい!・・・・ああ、なんて甘美な響きなのだろう・・・。ますます好きになってしまうよ。」
「、俺たちのことも敬称をつけずに呼んでくれ・・・。」