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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第1章 武将と五百年後ノープランツアー 前



「兼続さん、お久しぶりです」
「凪、お前までこの珍妙な世に飛ばされていたとはな」

光秀の傍に居た凪が兼続の元へ行き、笑顔で声をかけた。彼女の姿を前にして、その立ち姿に異変や怪我などがない事を確認すると、彼は淡々と冷たくも清廉とした藤の眸に凪を映す。やがてそんな兼続と向き合っていた凪の姿にふと気付き、幸村が声を上げた。

「あ!お前あの時のイノシシ女じゃねーか」
「イノシシ女!?」
「わー、そういう事さらっと言っちゃうとこなんかも元カレそっくりね」

まさかのイノシシ女発言にぎょっとした凪を余所に、彼方が何処となく納得した様子で一人頷く。兼続が心の中でイノシシ女…と呟きを零していると、凪の身体がくい、と背中から引き寄せられた。

「これは真田幸村殿、お会い出来て光栄だ」
「げ、明智光秀…!」

凪の腹部に片腕を回し、光秀が幸村ヘ視線を向けて口角を持ち上げる。あからさまな態度を隠しもしない、ある意味で正直な幸村が眉間に皺を刻む傍ら、光秀はその隣に居る兼続へ意識を移した。

「兼続殿も久しいな。こうして五百年後の世で貴殿と顔を合わせる事になるとは思いも寄らなかったが、まああちらへ戻るまでの間、宜しく頼む」
「ああ、俄には信じ難いが、これだけ武将が集まっているところを見ると、佐助の突飛な話もあながち嘘ではないらしい」

兼続は光秀からの視線を受け止め、一度藤の眸を凪の腹部に回されている片腕へ向ける。それはしかし一瞬の事であり、すぐに常の冷静且つ理性的な眼差しで相手を見やり、仕方ないと言わんばかりに薄い瞼を閉ざした。どうやら兼続は自室での公務中、幸村は信玄の使いの途中でワームホールに呑み込まれたらしく、気付けば夜中の本能寺跡石碑前に倒れていたとの事だった。

「じゃあ私達が移動した後、時間差で飛ばされて来たのかな」
「恐らくはそうだと思う。でも無事に二人と合流出来て安心した。それで、厚かましいお願いなんだけど彼方さん」

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