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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第12章 仰せのままに



そんな事、ある筈がない。乱世にやって来て、右も左も分からなかった凪を色んな場所へ連れて行ってくれたのは、他でもない光秀なのだから。鼓膜をしっとりと潤った声がくすぐった。確信めいた問いかけに抗う術などなく、凪が片手で光秀の白い着物をきゅっと握り、小さく告げる。

「……じゃあ人通りの少ない場所を通って、あまり人目につかない甘味処に行きたいです」

とはいえ、この状態でまたしても賑やかな往来を堂々と歩くのは、さすがに羞恥心が勝るというものだ。凪の些か難しいとも言えるそれを耳にし、光秀が可笑しそうに喉を鳴らした後で応える。

「仰せのままに」

下ろしたての草履よりも確実に、凪が望む素敵な場所へ連れて行く自信があると言わんばかりの光秀が、そうして袴の裾をふわりと翻し、見世を後にしたのだった。




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