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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第10章 どちらかと言えばサバイバル



「飯を食う為に散策へ出るとは、変わった習慣もあったものだ」
「でも楽しいですよ。現地調達じゃなくて、元々作ったものを持っていくんです」
「ならば、次の機会にはもう少し趣のある場所を選ぶとしよう」

時折凪の口から飛び出す未知の単語は、光秀にとって当然馴染みのないものばかりだ。けれども、それを語る彼女の表情が実に楽しげであるのを見る限り、少なくとも凪にとっては心躍るものに違いはないのだろう。ひんやりとした湧き水を竹筒から飲んだ凪が、光秀の言葉に口元を綻ばせる。

「別に何処だっていいです。光秀さんと一緒なら、どんな場所でも楽しいですから」

嬉しそうな笑顔と共に伝えられた言葉に、光秀が微かに双眸を瞠った。だが、確かにと内心で得心する。元々景色を眺める趣味も、行楽を楽しむなどという趣味も持ち合わせていない自分が、唯一楽しいと感じる瞬間もまた、そこに凪がいるという条件に基づいているのだから。

「……まったく、やはりお前は逞しい上に、言う事すべてが愛らしいな」

自然と溢れる笑みと共に柔らかく穏やかな言葉を吐息混じりに発し、光秀は凪と過ごすひと時の散策を心のままに楽しんだのだった。




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