• テキストサイズ

❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第1章 武将と五百年後ノープランツアー 前



(いやいや、まさかね。だってここ五百年後だし、兼続さんがこんなところに居たら女の人達に囲まれて大変………)

「って、兼続さん!!?」

思わずスルーしそうになった凪であったが、自らの視界に映り込んだ光景と想像が一致し過ぎた所為で、一気に現実へと引き戻された。凄まじい勢いで二度見した凪に対し、光秀が一度繋いだ手を離した後、両手で彼女の頬を包み、くるりと正面へ戻す。

「気の所為だ、凪。ここは五百年後の世、越後の執政官である兼続殿が居る筈がないだろう」
「え、でも何か凄くそれっぽい人が女の人達に囲まれてますよ!?」
「他人の空似というやつだ。侭(まま)ある事だな」
「嘘、越後の執政官で兼続って事はつまり、越後の旦那様!?マジ!?」

あくまでも別人だろうと主張する光秀に対し、凪が人混みの中へ視線を向ける。再び意識を女性陣の塊の方へ向けた彼女の顔を、またしても光秀がくるりと振り向かせた。しかし越後の執政官という単語に反応した彼方が人混みへ興味深そうに意識を向ける。更にその隣に居た三成もまた、兼続殿とは一度お話がしてみたかったのです、などと言いながらそちらを振り返った。

「あー!もう、いい加減にしろって!大体ここは何処なんだよ、あとお前等、女の癖に肌出し過ぎだぞ」
「聞き間違いじゃない、やっぱりこの声は幸村だ」

黄色い声に呑み込まれそうになりながら、もはや自暴自棄とばかりに声を上げたそれが、佐助の耳に届けられる。ズッ友の声を聞き間違える筈もなく、今度こそ確信を得た佐助は、二人を救出するべく女性陣の波の中へと勇んで立ち向かって行ったのだった。

──────それから約十分後。

「はあ……何とか撒いたね……」
「五百年後の娘達の執念は、信長様の首を狙う顕如に勝るとも劣らない鬼気迫るものがあったな」
「ぜえ……ちょっとマジ、武将の足が速いのはまだ分かるけど、凪、あんたよく浴衣でそんな走れるね…」
「タイムスリップした後、摂津で凄い執念の人に追い掛けられた事があるから……」

/ 800ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp