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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第1章 武将と五百年後ノープランツアー 前



チークよりも鮮明で、凪の姿をより愛らしく、幸せに彩る最後の仕上げを施した光秀は、満足げに笑った後、さながらエスコートするかの如く部屋のドアを開けたのだった。


────────────────…


凪と光秀がロビ―に向かった頃には、既に全員が支度を終えていたらしい。案の定というべきか、一番最後に到着した凪と光秀は、ソファーへ座って思い思いに時間を潰していた面々をぐるりと見回し、感心した様子を見せる。

「彼方、可愛い…!」

開口一番、凪が口にしたのは彼方への称賛だった。三成と何やら話をしていたらしい彼方は、現れた二人を見て立ち上がる。凪よりすらりと背の高い彼女は黒地に大柄な梅のレトロな柄が入った浴衣で、赤い帯が程良いアクセントになっている。マロンベージュの髪をアップにし、トップで緩いお団子にした後、毛先を散らす形にしたそこに、紅梅の簪を挿していた。元々シャープな目元の美人系である彼方は、そういった大人っぽい服装がよく似合う。繋いでいた光秀の手をするりと離し、彼方の方へ向かってしまった凪へ、やれやれと肩を竦めた光秀を余所に、女子二人は楽しそうに互いの姿を見た。

「やばい、明智さんの見立てなかなかだわ。乱世嘗めてた」
「お褒めに預かり光栄だな」

悩む凪に対し、ごく自然な所作であれこれと一式の見立てをしていた光秀を見て、よもや乱世でもああして小袖やらを選んであげているのかと考えた彼方だったが、あながちその予想は間違っていない。ゆったりとした足取りで歩いて来た光秀が武将達や佐助が固まる輪へ合流した様を見ると、彼方は改めてしみじみと呟いた。

「ねえ誰か、あの人達一人ずつ写真撮って各種肖像画と入れ替えて来て」
「気持ちは分かる……でも絶対信じて貰えないからね」
「遺憾だわ、あんなんが戦国時代にごろごろ居るとか知ってたら、もっと早く戦国に嵌まってたのに」
「信長様も、多分彼方の想像越えてるよ」
「くっ……!どうしてワームホールは織田信長…様を吸い込んでくれなかったわけ」
「うーん…定員オーバーだったんじゃないかな?」

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