❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国
第1章 武将と五百年後ノープランツアー 前
双眸を瞬かせた後、ぐるりとうっかり五百年後へ飛んで来てしまった面々を見回し、大きく首を横へ振る。
「さ、さすがに男の人六人は無理…!お布団とかもお客さん用そんなに無いし…ただの1Kだし」
「わんけーとは何だ」
「えーと…厨(くりや)とかを除いて普通の部屋が一部屋しか無いって意味です」
「ほう…?俺はともかく凪と他の男を同室にする訳には行かない。他の手を考える他なさそうだな」
一般的な普通のアパート暮らしである凪の部屋は完全に一人暮らし用である。女性数人ならばともかく、男性六人はかなり厳しい。広さ的な観点で告げた凪の返答を耳にし、光秀が1Kの意味を知れば僅かに眉根を寄せて却下した。
「話が振り出しに戻りましたね」
「五百年後の方々は野営などはされないのでしょうか?」
「ある意味実にアグレッシブなご意見、ありがとうございます三成さん」
「まあ、野営なら慣れてるが…だとしても天幕用の布や支柱になるものが必要だな」
「え、待って秀吉さん、真剣に野営を考えないで…!」
家康が溜息を零す傍ら、三成がきょとんとした様子で双眸を瞬かせ、心底不思議そうに問いかける。その考えは無かったとばかりに佐助が丁重に突っ込むと、早速準備に取り掛かるべく秀吉が辺りを見回し始めた。凪が咄嗟に秀吉を止める為に腕を振れば、ふとその小袖の袂にずっしりとした重みを自覚し、双眸を瞬かせる。
「どうした、凪」
「もしかしたら、野営回避出来るかも…!」
「本当に野営以外手段なかったんだ」
「何か思い付いた?凪さん」
光秀が案じるよう窺うと、彼の方へぱっと向き直った凪が喜色を滲ませて告げた。その凪の案がなければ野営待った無しだったのかと溜息を零した家康に続き、佐助が一縷の望みをかけて確認するよう問う。
「うん、ちょっとかなり危険な賭けだけど…もしかしたら…」
全員の注目が凪に集まる中、彼女は袂へ片手を差し入れて手にしたそれを引っ張り出した。
「やっぱり…!」
「凪様、それは一体…?」