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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第1章 武将と五百年後ノープランツアー 前



「取り敢えずこんな大所帯で突っ立ってても仕方ないですし、身を潜める場所が必要ですね。……大体何なの、夜なのに明る過ぎるんだけど」
「あれは街灯っていって、あのくらいの明るさは割と普通だよ」
「悪事を働くには少々不利だな」
「……光秀さん、この時代で悪事は駄目」

五百年後の世と知り、最初こそ驚いていた風な家康だったが、ある意味で一番適応能力が高いのか、それとも興味があまりないのか正論を述べる。が、道の所々に設置されている街灯から放たれる光や建物の灯りをちらりと幾度も不審げに見て、鬱陶しいと言わんばかりに眉根を寄せた。さらりと本気とも冗談ともつかない言葉を挟んだ光秀に凪がそっと突っ込むと、佐助も困った様子で思案する。

「家康さんの言う通り、いつまでもここに居る訳には行きません。俺達の格好は今の世だと明らかな不審者です」
「和服観光の人にはちょっと見えないし、無理があるよね…」
「……俺達の格好は五百年後だと不審者扱いなのか」
「何落ち込んでるんですか、秀吉さん」
「秀吉様、一体どうなされたのですか?」

自分達の格好が不審者扱いだと言われた事に心無しかショックを受けた様子で秀吉が溜息を漏らした。家康の突っ込みと、そもそも話が分かっていない三成を余所に光秀が思案を巡らせた後、凪と佐助に声をかける。

「凪、佐助殿、この時代がお前達の本来住んでいた世という事は、それぞれお前達の住処があるんじゃないのか」
「確かに、俺は大学の近くに部屋を借りてるんですけど、恐らくこの時間だと電車もバスもないですし、移動のリスクが高いですね。凪さんは?」
「えっ!!?」

光秀の指摘通り、佐助も凪も京都住みだ。よって本来ならば自分達の家も当然存在するのだが、佐助のマンションは公共交通機関を使わないと距離がある。時刻は深夜二時付近、終電も終わってしまっている為、移動は難しいだろう。佐助に話を振られ、凪は驚いたように声を上げた。

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