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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第1章 武将と五百年後ノープランツアー 前



コーヒーのカップを傾けていた彼方が、何事か思い付いたように呟く。ある意味色々と大事なものだらけだとは思うが、果たして一体何を指しているのか理解出来なかった凪が首を傾げると、友人は大層楽しそうな様を露わに人差し指をぴっと立てて笑みを浮かべた。

「着替えに決まってるでしょ。まさかそのままの格好で出歩くつもりじゃないでしょうね」
「あ、そっか…確かに現代でこの格好だとちょっと浮いちゃうかも」
「つまり私達も五百年後の装いになるという事でしょうか?」

武将達と凪、佐助は当然ながらタイムスリップして来た格好のままであり、そのままの格好で外へ繰り出す事は難がある。はっとした様子の凪が苦笑して己の格好を見下ろすと、三成が不思議そうに双眼を瞬かせた。

「俺は正直、着物が一番楽なんだけど」
「それは俺も同感だが、郷に入っては郷に従えと言うからな。必要ならば仕方ないだろう」

家康がぽつりと口にすると、光秀も同意を示して頷く。とは言えども、彼方の格好を見る限り五百年の間に人々の装いはだいぶ様変わりしてしまったようだ。外を歩くには不適切だと言うのならば合わせなければならないなと神妙に語る二人を見て、彼方は自信を露わに口角を上げる。

「その点は心配しないで。私にいい考えがあるから。じゃあご飯食べ終わったら早速呼ぼうか」
「呼ぶって誰を?」

彼方へ振り返り、双眼を瞬かせた凪が問いかけた。微かな音を立ててコーヒーカップをソーサーへ戻した彼女は、自信をその面持ちに浮かべる。一同の視線を受ける中、彼方がすっぱりと言い切った。

「うちでお世話になってる呉服屋」

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