• テキストサイズ

❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第1章 武将と五百年後ノープランツアー 前



凪が告げると、テーブルの下で繋いでいた指先へそっと力を込めた光秀が口元へ緩やかな微笑を刻んで答えた。光秀にしてみれば、凪と共にこの時代にいる以上、少しでも彼女の喜ぶ様が見られればそれでいいといった観点である為、訊くまでもないといったところだ。次いで賛成を示したのは三成であり、元々現代のあれこれに興味を覗かせていた事も相まって、爽やかな笑顔のままで告げる。

「そうだな。信長様への土産話にはなるかもしれない。俺も賛成だ。今後あの御方が築かれる後の世を、この目に焼き付けるのも悪くないだろうしな」
「家康はどうかな?」

前者二人の意見を耳にし、秀吉が仕方ないといった風に眉尻を下げつつ笑った。現代人組の言う通り、こんな機会は滅多にないのだ。帰れるか不確定であるならばまだしも、一応目処が立っているのならば良いだろうとの判断である。秀吉の了承を得たところで、凪はそれまで無言でいた家康ヘ意識を向けた。窺うように首を傾げた彼女を前に、小さく吐息を漏らした彼は瞼を伏せる。

「いいんじゃない。わーむほーるが開くまで、何もしないでいるのもどうかと思うし」

家康が了承の意を示した事で凪が嬉しそうに微笑んだ。柔らかな彼女の表情を前にして、鼓動を密かに跳ねさせた家康がそれを押し隠すよう瞼を伏せたと同時、彼方が声を上げる。

「じゃあ決定だね…!私も同じ期間休み取っておくわ。引率が凪と佐助くんだけじゃ心許ないかもだし」
「仕事の方、大丈夫なの?」
「大丈夫、何かあったら電話でも何でもして来るでしょ。それに、私も正直めちゃくちゃ興味あるし」

歴史オタクとしてはこんな滅多に出来ないだろう体験を見逃すなど有り得ない。己の欲望と本能に忠実な友人の言い分は相変わらずであり、凪がそっと苦笑すると、佐助が隣で眼鏡のブリッジをくいっと上げた。

「じゃあ話がまとまったところで。皆さんに五百年後ノープランツアーを目一杯楽しんで貰えるよう、俺も全力を尽くします」
「そうと決まれば大事なものを用意しないとだね」
「大事なもの…?」

/ 800ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp