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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第1章 武将と五百年後ノープランツアー 前



驚いて見上げた凪の双眼を前に、光秀が口元へ微笑を浮かべた。

「お前を乱世へ一人残していたのならその限りではないが、共に飛ばされた事は幸運だったな」
「私も、光秀さんが急に居なくなっちゃったら、びっくりしてあちこち探し回ったかもしれないです」
「ならば互いに何処にも行けないよう、こうしておくとしよう」

穏やかに紡がれるしっとりとした低音を耳にし、凪がはにかむ。例えばこれが一方だけ飛ばされていたら、と考えるとそら恐ろしい。偶然ではあるが、光秀と共に縁側でお茶をしていて良かったと心の中で零した凪の頭を再度ひと撫でし、するりと自然な所作で片手を下ろした光秀が、テーブルの下で凪の小さな手をきゅっと握り、繋いだ。大きな掌に包まれる感覚に、じわりと目元を紅く染めた凪を見て、光秀が親指の腹で彼女の手の甲を撫でる。何やら突如としてイチャつき出した隣席へ半眼を向けていた彼方が、視線を何気なく巡らせると、家康もまったく同じ目を向けていた事に気付いて彼女は心の中でそっと彼にエールを送った。

「じゃあさ、どの道六日間は五百年前に帰れない訳だし、この際だから現代をパーッと楽しんだら?」

話を切り替えるよう彼方が一同を見て声をかける。帰りの日取りが決まっているのならば、ある程度は安心出来るというもの。こんな機会は滅多に無い。彼方の提案には佐助も賛成のようで、小さく頷くと口元へ微かな笑みを浮かべた。

「俺も彼方さんの意見に賛成です。皆さんが良ければ、現代を堪能してみませんか?いいお土産話になるかもしれません。凪さんはどう思う?」

佐助の後押しを耳にして武将達は双眸を瞬かせる。最後に佐助が凪へ視線を向けて問いかけると、彼女は話題を振られた事に双眼を見開いた後で小さく頷いた。

「うん、私も皆さんが良ければそれがいいと思います。六日間ずっとホテルにこもりっぱなしっていうのも勿体ないですもんね」
「俺は凪の意見に合わせる。この時代は確かに色々と興味深い」
「私も賛成です。未知の事を体験するのはとても楽しいですから」

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