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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第1章 武将と五百年後ノープランツアー 前



「そういう事であれば三成、お前に良い策を与えてやるとしよう」
「それは本当ですか、光秀様!是非ご教授の程お願い致します」
「………おい光秀、お前まさか」

(……私も秀吉さんと同じ予感がする)

実に悠然とした様の光秀相手に、ぱっと面持ちを輝かせた三成が何の疑いも無く問いかける。散々光秀による悪戯の標的にされている秀吉は、正面に座る男の口振りに眉根を寄せて怪訝な表情を浮かべて低い声を漏らした。秀吉が言わんとしている事が何となく予想出来てしまった凪は、そっと苦笑すると隣に座る男へ視線を流す。複数の眼差しを受け、瞼をふわりと伏せた後で再び悪戯な色が過ぎる金色の眸を三成へ真っ直ぐに向けた男が唇を動かした。

「すべて混ぜてしまえば気にならなくなる」
「なるほど…!さすがは光秀様です」
「おいこら、妙な入れ知恵するんじゃねえ光秀。三成も、妙案を得たような顔で納得するんじゃない」

やっぱり…と内心で納得した凪を余所に、光秀が授けた策へ感銘を受けた様子の三成が眸を輝かせる。しかし三成が行動に移すより早く、秀吉が眉間へ更に皺を深々と刻みながら正面に座る男へ文句を告げた。一応三成にも制止をかけなければ、そんな秀吉の姿を前にして凪が何処か可笑しそうに笑う。

「何か秀吉さん、三成くんのお兄さんみたいですね」
「秀吉が兄とは、さぞ毎日小煩いだろうな。俺は御免被りたいところだ」
「俺もお前みたいなやつが弟なんて御免だ。口が幾つあっても足らねえ」
「二人が兄弟なんて考えただけで空寒いですね」

凪の言葉を受けて、いつも通りの感想を抱きながら光秀がしじみを綺麗に退かしながら、五目炊き込みご飯の器に味噌汁を入れた。その堂々たる仕草へひくりと片頬を引き攣らせた秀吉が険呑な調子で反論すると、我関せずであった家康が真っ赤なだし巻き玉子を食しながら口を挟む。賑やか且つ何だかんだ仲の良い安土武将達を前に、彼方は面白いものを見るような目でそれ等を観察し、ふとフォークを伸ばして三成の小鉢から人参をさくりと刺し、それを口に運んだ。

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