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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第5章 掌中の珠 後編



様々な動物が描かれている中に、つぶらな目の虎と些か挑戦的な目をしたイワトビペンギンの姿を見つけ、光秀が冗談めかした調子で肩を揺らす。自分に注目が集まっている事が嬉しく、胸を張って得意げな表情を浮かべた幼子へ兄が突っ込んでいる間に、スタッフ二人が両手にそれぞれもふもふの生き物を抱いてやって来た。光鴇がはっとした様子で母と兄の間に座り、緊張した様を見せる。

「はい、どうぞー。驚かせないようそっと抱っこしてあげてくださいね」
「わ、ありがとうございますっ」
「おおきいねずみさん……」

付き添いの自分達にも一匹ずつチンチラが優しく渡された事へ、凪が咄嗟に礼を述べる。未知との遭遇故か、些か硬い表情を浮かべた光鴇がこわごわチンチラを受け取り、膝の上に置きながら両手で触れた。淡い灰色や濃い灰色、白に近い色合いなど、毛並みの色も様々なチンチラは存外大人しく、髭や鼻をひくひくさせながらきょとんとした丸い目で見上げて来る。

(か、かわいい……!!!ふわふわもふもふ……この手触り、癒される……)

凪に渡されたチンチラは白に近い薄灰色の毛並みを持っており、きょとんとした丸い目で彼女を見上げている。長めのふさふさした尾がくるんと揺れ、小さな前肢が無防備で可愛い。細かく柔らかな毛が密集しており、元々極寒の地に生息していた事もあって分厚い毛皮のコートをまとっているかのようだ。砂浴びなどで毛を整えるそれは実に触り心地が良く、ひと撫でするだけで幸せになれる程の感触である。

「も、もふもふ……!」
「柔らかくて可愛いです…!」

子供達もその魅惑の触り心地に感動を露わにしていた。最初こそ大きな鼠、と警戒を露わにしていた光鴇であったが、今やすっかりチンチラに夢中だ。光臣も密かに眸を輝かせ、丸々とした身体を優しい手付きで撫でてやっている。

「お兄ちゃんが抱っこしてるのがしげともくん、弟くんはとしみつくん、お母さんはみつただくん、お父さんが抱っこしているのがひでみつくんってお名前ですよ」
「えっ」

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