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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第5章 掌中の珠 後編



「待たせてしまいましたよね、ごめんなさい」
「何を謝る事がある。妻が着飾るのを待てないような、無粋な夫になったつもりはないぞ」
「ふふ、ありがとうございます」

自身の格好を改めて見下ろし、変な所がないか確かめた後で凪が光秀達の元まで向かう。自分が支度している間、子供達を見ていてくれた夫へ感謝も込めて言葉を並べると、光秀が穏やかな声色で返して来た。ソファー付近まで向かった凪が笑みを零し、そうして改めて光秀と光臣の姿を目にする。

ちなみに、彼女が出て来た寝室の扉から見て、父子三人が座っているソファーはちょうど背凭れ側を向いた体勢になっていた。よって振り返った光秀と光臣が寝室の扉前に居た凪の姿は認識出来ても、彼女側から彼らの格好を窺う事は出来ない。座部へ回り込んだ折、ようやく目の当たりにしたという訳である。

(かっ………)

最初に視界へ映り込んで来たのは光臣であった。白いロングパーカーにはフードとバックにグレーのプリントが施されており、黒のデニム生地を用いたスキニーパンツスタイルの少年は、今日はいつものように高い位置で長い銀糸を結わず、左肩へ流す形で結っていた。スキニーパンツを穿いている事もあり、父に似て元々長い脚が更に長く見える。

「臣くん、かわいいっ」
「ありがとうございます。この袴、乱世のものと違って締め付けがありますが、歩きやすいですね」

凪が思わず感嘆の声を上げると、少年が気恥ずかしそうにしながらも礼を述べた。そもそも彼は父親譲りの顔面偏差値を持つ、彼方曰く将来勝ち組な美貌の少年である。光秀に瓜二つな容姿も相俟って、現代の衣服をまとっても何ら違和感はない。

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