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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第1章 武将と五百年後ノープランツアー 前



「ではお前の言葉に甘えるとしよう」
「そうしてください。じゃあシャワールーム行きましょう。一応温度調整とかも見ないといけないですし」

光秀が折れてやると凪がソファーから立ち上がった。彼女の口振りから考えて、あの勝手に出る湯は熱さを自由に調整出来るらしい。何とも便利なものだと内心で零しながら、光秀は凪に手を引かれる形でシャワールームへ向かった。洗面所とトイレ、シャワーブースが広いスペースの中へ一緒に配置されているそこには、タオル一式などの必要なものが揃っており、全面ガラス張りのシャワーブースの中にもシャンプーやリンス、ボディソープなど入浴に必要なものが揃えられている。

「浴衣はベッド…じゃなくて褥の上にあったので、後で用意しておきます。脱いだ服はここに入れて…あと、このタオルで身体は拭いてくださいね」
「ああ」

てきぱきと追加の説明をする凪を見やり、光秀はそっと気付かれぬよう小さく笑った。シャワーの温度を確認し、ブース内に置かれているボトル四つの用途を説明した後、バスタオルを手近な場所ヘ置く。

「多分これで説明漏れはないかな?大丈夫そうですか?」
「そんなに心配なら、いっそお前も一緒に入ればいいだろう」
「……え!?」

しれっと言われた言葉に双眼を見開いた凪は光秀を見上げ、そして一歩後退した。じわりと耳朶が紅く染まる様を前に、男がくつりと低く笑う。冗談なのか本気なのか、皆目見当が付かない様を前に、凪はそっと視線を外して眉根を寄せる。

「だ、駄目です…!何か危険な気がするので!そもそも、教えたら問題ないってさっき言ってたじゃないですかっ」
「やれやれ、一体何を想像したのやら。すっかりいやらしい娘になってしまったようだな」
「いやらしくないです…!ばかっ」

乱世においても光秀と何度か一緒に湯浴みしているが、生憎と無事で済んだ事は一度たりともない。身の危険を感じた凪が首を振って拒絶の意を見せると、光秀は小さく笑って瞼を閉ざした。

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