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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第4章 掌中の珠 前編



勝手に思い違いしたのは自分とはいえ、一人落ち込んだ事実に気恥ずかしさを覚えた彼女が微かに目元を染めた。

「それはそうかもですけど、紛らわしいです…!私はてっきり、光秀さんの順位が惜しくも低かったのかと……」
「政宗さんを押さえての堂々二位と、てれびの中に居る者が言っていましたよ。ちなみに四位とやらは秀吉さんと家康さんが同率扱いでした」
「途中、三成や慶次、春日山の面々の名も上がっていたな」

ちなみに三位は政宗、四位は同率票で秀吉と家康という織田軍武将勢がトップを独占したらしい。その個性豊かな面々を押さえ、堂々一位を獲得したらしい信長はさすが天下人の器と言うべきか。他にも見知っている武将達の名が列挙されていたらしく、この場に彼方や佐助が居たら更に白熱しそうな番組だったのだろうという事が安易に予想出来る。

「でもみんな、おかおちがった。ちちうえのおかお、あれじゃない」
「正確な人相書きが五百年先の世まで残っていては、それこそ事だろう」
「え、そういう解釈なんですか……?」

その中で一人、光鴇が複雑そうに眉根を寄せて口をへの字にしていた。どうやらランキング紹介時、表示されていた姿絵などが自身の知る者達の姿と異なった事に不服を覚えているらしい。光鴇の不満を解消するよう光秀が添えれば、凪が思わず突っ込みを入れた。

「父上が仰られた通り、母上が御心を痛める事は何もありませんでした。略歴もそこまで深く語られておりませんでしたし……」
「そうなの?」
「はい、詳細な資料があまり見つからず、謎に包まれた人物……と紹介されていました」
「五百年後の者達相手にも、上手く煙に巻けたようだな」

二位ともなればテレビの構成的に様々なエピソードの説明や人となりなどが紹介されるものだが、曰く【明智光秀】に関しては関連資料があまり見つかっていない、戦国随一謎な男として紹介されていたらしい。可笑しそうに説明した光臣が肩を揺らして光秀によく似た表情で笑いを零す。隣では瞼を静かに伏せ、いつもの人を食った調子で言ってのける男の姿が視界に入った。

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