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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第1章 武将と五百年後ノープランツアー 前



「……明智さん、もしかして意味何となく分かってて、わざと訊いてない?」
「さて、何の事やら」
「ふーん………で、答えてあげないの?凪」

光秀が凪を見て笑みを深めた。男の面持ちを見つめ、何となくこれまでのやり取りで光秀の人となりを察したらしい彼方は、訝しみを込めて問いかける。長い睫毛をふわりと伏せ、唇に薄い微笑を乗せた相手を半眼で見やり、全く気のない相槌を打ちながら凪をちらりと見た。凪は彼方に促され、困窮した様子で眉尻を下げた後、観念した様子で小さく呟く。

「う………、見た目が格好いい男の人って意味」
「……ほう?」

光秀の眼がそっと眇められる。意味深な眼差しを向けられ、ぱっと顔を逸らした凪へくつりと喉奥で小さな笑いを零し、指の背で紅い耳の輪郭をなぞった。びくりと小さく震える凪へやはり愉しげな様の光秀を視界に収め、彼方はひとまずバカップルから意識を逸らす。

「で、眼鏡の君が現代人の佐助くんね」
「ああ、改めてよろしく彼方さん」

佐助の自己紹介については、タイムスリップの事を伝える際、事前に伝えてあった。実は乱世で忍をやっている…というのは、事情を知らない秀吉と三成が居る手前、内緒にしている。よって彼方の認識は現代人から乱世の町人にシフトした元大学生、という立ち位置であった。一通りの自己紹介を終え、改めてぐるりと武将の面々を見回した彼方は、手にしていたグラスをコースターの上に置いて姿勢を正す。

「じゃ、皆から丁寧な自己紹介を貰ったところで、改めて咲坂彼方です。凪とは中学…っても分かんないか…えー八年くらいの付き合いです。よろしくー」
「よろしくお願い致しますね、彼方様」
「ていうか三成くん、何で私にまで様付け?」
「三成はそういう男なんだ。あまり気にしないでくれ」
「ふうん?」

彼方の自己紹介を耳にし、三成が笑顔で応えた。実は延々と気にかかっていたのだが、社長令嬢とはいえ武将の方がランクは当然上だと思っている為、様付けが少々落ち着かない彼方が苦笑する。主君である秀吉が補足すると、彼女はひとまず納得した様子で頷いた。

「それにしてもあれね、改めて武将さん達と向き合いつつ、最初に佐助くんと凪が説明してくれた内容思い出すと色々熱いわ、歴史オタクとしては」

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