❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国
第1章 武将と五百年後ノープランツアー 前
「実はここ数日、ワームホールの観測データが異常な数値を示していたんです。しかも不思議な事に、ワームホールの出現地点が一度に幾つも現れて、その場所をすべて割り出してみたんですが…」
「それが偶然、俺達とあちらで倒れている御一行の居る場所だったという訳か」
「さすが光秀さん。理解が早くて助かります。つまりはそういう事です。更に不思議な事に、こちらへ戻って来る際に時間の誤差が起こってしまったようで…少なくとも、こちらの世界では俺や凪さんがタイムスリップしてから一週間程度しか経っていないみたいです」
「ほう……?」
「一週間?じゃあそんなに経ってないって事になるね」
「うん、まあ正直そっちの方が色々と手間も省けて有り難い。実際向こうで暮らした年月が経ってたら、今頃俺達は行方不明者としてトップニュースを飾ってる筈だ」
「た、確かに…」
要するに、何らかの要因でワームホールに異常が起こり、凪達と武将達がそれに巻き込まれて、少し時間が巻き戻った現代へ飛ばされて来たという事である。飛ばされた時は昼餉を過ぎた八つ刻だったにも関わらず、今が夜半というのもそういった諸々の異常の所為なのだろう。
「つまりここは、凪や佐助殿が本来居た時代…乱世から見て五百年後の世という事で間違いはないな」
「はい」
「そうみたいです。どう見てもこの景色、現代ですもんね…」
改めて確認するよう問いかけた光秀に対し、佐助と凪がそれぞれ肯定した。状況を把握したところで、光秀はちらりと倒れている面々へ視線を流す。その視線の意図へ佐助も気付いたのか、同じように武将達の方へと意識を向けた。
「差し当たってはまず、あちらの御一行を叩き起こす必要があるという訳か」
「そうですね。今が深夜で助かりました。これで人目が多い時間帯だったら色んな意味で大問題ですから」
「確かに…じゃあ取り敢えず皆を起こしましょう…!まとめて状況説明した方が早いですもんね」
「ああ」
そうして光秀と凪、佐助は、少し離れている位置で倒れている面々を見やり、武将達を起こす為に歩き出したのだった。