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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第1章 武将と五百年後ノープランツアー 前



佐助からの視線を受けた家康が些か怪訝な面持ちで眉根を寄せる。自他共に認める徳川家康推しである佐助の様子にそっと苦笑していた凪へ彼方がとん、と彼女の肩へ片手を置いた。

「ていうかさ、この書状って豊臣秀吉宛てなんだけど、もしかしてあの服装に厳しいイケメン、豊臣秀吉?」
「うん、秀吉さんだよ」
「ちょっと待って…一応全員紹介して貰える?私の戦国時代の知識が一変しそうなんだよね、主にビジュアルの面で」
「分かる分かる。大した知識ない私でも、ぶっちゃけ最初そう思ったよ」

書状を片手に、ちらりと視線を秀吉に向けた彼方は心底訝しみを込めて顰めた眉根をそのままに問いかける。書状の内容が読めるという事は、当然宛名も読めるという事だ。秀吉の名がしっかりと書かれている事実と、目の前の現実を改めて受け入れるには少々勇気がいるらしく、彼方が凪へ頼み込む。初めて本能寺にやって来た夜、凪も同様の衝撃を受けた事もあり、同意するよう彼女も何度か頷いてみせた。

「じゃあ改めて紹介するね。まずは書状をくれた豊臣秀吉さん」
「改めて豊臣秀吉だ、よろしく頼む。信長様をお呼びする時は、例え五百年後の世であってもちゃんと敬称をつけるんだぞ。いいな」
「信長、……様好き過ぎでしょ。さすが忠臣」

凪が秀吉の方を指して紹介を紡ぐ。居住まいを正した秀吉が改まった挨拶をした後、信長の呼称について付け加えた様に、彼方がつい突っ込んだ。様を遅れてつけた為、お小言は免れられたらしい。

「その隣が徳川家康……普段呼び捨てだから名字も付けると変な感じするかも」
「……どうも。確かに凪に名字で呼ばれるの、慣れないからちょっと変な感じだね」
「えー徳川家康可愛いな!てか凪にだけデレてない?」
「……は?可愛くないから。そもそもでれるってなに」

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