❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国
第2章 武将と五百年後ノープランツアー 後
───おまけ───
信長の元へ土産を届けに向かった光秀と凪の二人は、光秀の予想通り天主に集まっていた秀吉、三成、家康の三人が無事安土へ戻って来ていた事を確認すると、かくかくしかじかの説明を終えて、家康と共に政宗の御殿へと今度は足を向けた。御殿内の自室に招き入れてくれた政宗に、何故かうっかりワームホールに巻き込まれて、七日間五百年後の世に居た事を諸々ざっくりと説明すると、彼は実に興味深そうな様子で関心を覗かせる。
「へーえ、随分面白そうな事に巻き込まれてたんだな、お前等」
「政宗さんが向こうに行ってたら、普通に楽しんでそうですね」
「当然だ。一度しかない人生、楽しまなきゃ勿体ないだろ。それに五百年後の世なんて、行きたくてもそうそう行けるもんじゃないからな」
快楽主義者を語るだけの事はあり、好奇心の旺盛さは恐らく信長に勝るとも劣らないといったところだろう。予想通りの反応をしてみせた男を前に、光秀がふと口元に笑みを滲ませた。その隣に座りながら、仔虎の照月と戯れていた凪は何処と無くどぎまぎした雰囲気で、ちらりと光秀を窺う。
(………光秀さん、本当にあれ渡す気なのかな)
あれとは、現代で光秀が政宗相手に土産の品として買ったあれである。みゃーみゃーと戯れて来る、通常の猫よりも二回り大きめな照月の肉球をぷにぷにして心を鎮め、凪は実に愉しげな雰囲気の恋仲を見つめていた。ちなみに家康は光秀が買った土産の中身を知らない。
「さて、土産話に花を咲かせるのも悪くは無いが、実際に土産の品を見た方がその感慨もひとしおというものだろう」
「土産……?わざわざそんな気の利いた事をするとは、光秀…まさかお前、何か企んでるんじゃねえだろうな」
「やれやれ、せっかくあちらで稼いだ日銭を叩(はた)いたというのに、随分な言われようだ」
「これで相手が秀吉や三成だったら俺も素直に受け取ってるんだが」
「野生の勘とは恐ろしいな」
「ちょっと政宗さん、俺をこの人と同じ括りにしないでください」
(政宗、鋭い……!!!)
「みゃ?」