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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第1章 武将と五百年後ノープランツアー 前



至って普通の家庭育ちの凪とはかなりの格差と言える。もっとも、彼方があんな性格なので、彼女がご令嬢だというのは、こういった場面を見ないと改めて思わないのだが。

「ところで凪さん、彼方さんにはありのままを説明する方向でいいのかな」
「うーんそうだね、多分そっちの方がいいと思う。信じてくれるかどうかは賭けだけど…」
「まあ話してみない事には始まらない。ここまでお世話になった以上、変に隠すのも悪いしね」

凪と光秀が座るソファーの正面辺りに佐助が座り、問いかけた。見たところ悪い人間ではなさそうだし、何より凪の友人だ。ありのままを語って聞かせ、信じて貰えなければ次の手を考えようといった形で二人は話をまとめ、頷き合った。


─────────────────…


「へえー……雷に打たれてワームホールとやらに吸い込まれて、気付けば戦国時代、むしろ本能寺の変真っ只中で勢い余って織田信長助けて、自称明智光秀さんに無理矢理任務連れ出された後、色々あって二人は付き合った訳ねー」
「うん、さすが彼方。呑み込み早いね!」
「うんうんなるほどー……って内容詰め込み過ぎだし濃すぎるわ!」
「痛っ」

凪の隣に座ったままホットサンドを頬張っていた彼方は、一度は納得した様子でうんうんと頷いて見せた後、笑顔を浮かべる凪に向かってデコピンをした。然程強すぎる訳でもないが、こういった類いの攻撃は地味に痛い。片手で額を軽く押さえた凪の隣で、光秀が彼女の手を外してやり、自らの掌でよしよしとデコピンされた箇所を撫でてやる。たっぷりのチェダーチーズと厚切りハムにレタスとオニオンといった、深夜三時に食すにはかなりヘビーなホットサンドへかぶり付いていた彼方は、眉間の皺を深々と刻んでぐるりと自称五百年前からやって来た武将達を見回した。

彼等は、彼方が注文した握り飯を片手に凪と佐助の説明を見守っていて、一部大変個性的な食べ方をしている。そもそも、三角のスタンダードな握り飯を前にして秀吉が、何だこの珍妙な形の握り飯はと不思議そうに呟いたところからして個性的だ。

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