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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第2章 武将と五百年後ノープランツアー 後



「と、なんやかんや言う幸村も、信玄様へしっかりお土産の甘味を買っていたのであった」
「なんで急にナレーション風!?」
「なれーしょんが何かは知らないが、佐助殿はいつも愉快だな」
「人の揚げ足取んな…!」

真顔且つ抑揚無く言い切る様が更にシュールさを際立たせる。凪がつい条件反射で突っ込む傍ら、光秀も隣で小さく肩を揺らしてくすりと笑う。たこ焼きを頬張りかけていた幸村が片肘で友人の脇腹を小突くと、佐助がさして痛くも無い割にくっ、と両手で小突かれた箇所を押さえ、やはり真顔でリアクションを取った。

(佐助くんと幸村、仲良いなあ)

同級生同士のような戯れ合いにほっこりしていると、凪が首を緩く傾げてみせる。

「信玄様へのお土産は何を買ったの?」
「あー、抹茶の【馬亜武炉流】…とかっていう菓子。どうせなら食った事ないもんの方がいいだろ。まあ一日の量は制限するけどな」
「……?なにそれ」
「些か物騒な名の菓子だが」

日中の土産ツアーはそれぞれ好きな店を回っていた為、幸村達が何を購入したのかは分からない。凪の問いかけに答えた幸村から、不思議な発音の菓子と思わしき名が紡がれ、大きな黒目をぱちりと瞬かせる。きょとんとする凪の隣で、光秀もまた片手を顎にあてがいながら率直な感想を述べると、佐助が正解を与えてくれた。

「バームロールだ、凪さん」
「ああ!バームロール…!」
「さっきからそう言ってるだろ」
「だって幸村の発音がちょっと変だったんだもん。というかたこ焼き、何か似合うね」
「何だそれ、嬉しくねー」

物騒な菓子の正体がバームロールだと明かされ、合点がいった様子で凪が声を上げる。自分ではそう発音したつもりであったらしい幸村が不服そうに告げると、凪がくすくす笑い返した。再会した時から密かに思っていた事だが、八個入りのたこ焼きの舟皿を持って竹串を刺している幸村の姿は妙に違和感がない。

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