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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第1章 武将と五百年後ノープランツアー 前



現在面々はエレベーターに乗っている。広い一室の扉が閉ざされ、謎の浮遊感に襲われた時には何事かと思ったが、慣れれば案外何ともない。いまいち二十五階という感覚が分からないが、ずらりと並んだ四角いボタンが並んだパネルの上部に表示されている階の数値が高くなっていくのを何気無しに眺めた。やがて小気味良いベルの音が鼓膜を揺らしたと同時、左右に扉が開かれる。

「はい、到着ー。全員下りて―」

開のボタンを押しながら彼方が声をかけた。面々が降り立った先はこのホテルの最上階に当たるフロアであり、スイートルーム等の特別室が設置された高級フロアとなっている。エレベーターを下りた先に広がったのは広いロビーだ。一面が白い大理石で作られているそこには、硝子のローテーブルと白いソファーが幾つか置かれている。適度な間隔で観葉植物が置かれ、天井には豪勢なシャンデリアが吊るされており、ロビーの奥が個室に繋がる通路となっていた。如何にも高そうなその様子を前に、このフロア一帯を貸し切りにしたという彼方へ若干青くなった凪は、心配そうに友人を見る。

「彼方…こんな高級フロアじゃなくて普通のところで良かったのに」
「だって最上階の方が一般人の出入りないし、いいでしょ。何か訳有りって言ってたし。中途半端なフロアだと、間違ってお客さん入って来ちゃうかもだし」
「確かにそうかもしれない。迷っても貸し切りなら問題なさそうだし…正直凄く驚いてるけど、ここは素直に御礼を言わせて欲しい。ありがとう彼方さん」
「ありがとう…!」

何だかんだ適当そうに見えて色々と考えてくれていた彼方へ素直に礼を紡ぐ。佐助も一般人に武将達を目撃されて、色んな意味で騒ぎになる事を懸念していたのか、丁寧に頭を下げて礼を述べた。

「恥ずかしいからそういう畏まったのは無し!このフロア内は好きに使って。部屋数も足りてるだろうし、変な遠慮はしなくていいから」
「今の俺達にとっては渡りに船といったところだ。感謝する、彼方殿」

凪の傍に立った光秀が静かに礼を紡ぐ。

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