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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第2章 武将と五百年後ノープランツアー 後



「乱世でもお面屋さんってあるんですか?」
「ああ、童(わっぱ)達が身に付けて遊ぶものもあれば、守り神として家に飾るものもある」
「そうなんですね。光秀さんは子供の頃、付けて遊んだりしました?」
「ご想像にお任せするとしよう」
「ええ!?そこ秘密にするところですか?」

古来の面は、精霊や動物の加護や神格を得る為に付けるもので、儀式やまじない、祈願等の意味合いが強かった。子供がそれを付けて、所謂ごっこ遊びをする事も無くはないが、どちらかと言えば祈願の意味を込めて家へ飾る事が多いだろう。凪の何気ない問いを受け、光秀が緩慢に目を瞬かせた。幼い頃は武芸を磨く事と教養を付ける事ばかりをしていた為、子供らしい子供時代を送った記憶はあまり無い。目を瞠る凪へ視線を流し、光秀が口元へ緩く笑みを浮かべた。二人の横を、五歳位の小さな兄妹がアニメのキャラクターであろう面を購入し、頭に被るようにして手を繋いで立ち去って行く。

「お前はどうなんだ」
「私ですか…?お面は片手で数える位しか買った事ないかもしれません。しかもそれ、弟に欲しいって言われてあげちゃったような気がします」
「良い姉をしていたようだな」
「長女とか長男ってそんなものだと思いますよ。下の兄妹に強請られたら、仕方ないなって何でも渡しちゃうの」

自分の方へ話を振られ、凪が首を軽く傾げる。綿あめや林檎飴の記憶は沢山あっても、面の記憶は然程無い。もしかしたら、そういうものにはあまり興味が無かったのかもしれないと思いつつ、子供の頃の出来事を話す。下の兄妹が姉や兄の所有物を欲しがるなど、良くある事だ。凪の幼い頃を想像したのだろう、光秀が口元を微かに綻ばせる。

「あ、光秀さん狐のお面がありますよ…!」
「他の面は中々変わったものが多いが、あの白狐は馴染みのある風貌をしているな」
「白い狐を見ると、光秀さんだなって思います」

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