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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第2章 武将と五百年後ノープランツアー 後



「相変わらずですね、光秀さん」
「生憎と奇襲は得意なものでな」

家康の物言いたげな視線を受けても尚、まったく悪びれた様子の無い光秀が銃身を肩に置きつつ、口角を緩く持ち上げる。緩やかな足取りで凪の元まで近付いて来た男が、眉尻を下げた彼女の腰をぐいと抱き寄せると、耳朶へ唇を近付けた。

「俺の言いつけを守れたいい子には、後でたっぷり褒美をやるとしよう」
「うう……何か凄く心が痛い……」
「勝負とは時に無情なものだ」
「あんたがそういうと凄く腹立たしいです」

鼓膜を揺らす色めいた掠れ声に、凪が何とも言えない複雑な表情で嘆く。よしよしと彼女の頭を撫でてやりながら、光秀が微かに笑いつつ告げる。溜息を漏らした家康が一度光秀へ呆れた眼差しを向けた後、凪へ近付き、彼女の頬を指先同士でふにっと摘んだ。そうして翡翠の眼を微かに和らげる。

「怪我、しないように気を付けなよ」
「う、うん…!」

【残り五人ー!】

アナウンスが響き渡る中でフィールドを去って行く家康を見送り、凪と光秀が残りの面々を倒すべく動き出した。そんな様々な陰謀と裏工作がひしめくウォーターガンサバゲーは、最終的に光秀と凪、二人が勝ち残る形で大いに観客達からも盛り上がりを見せつつ、大盛況の内に幕を引いたのであった。


──────────────…


─────五百年後に強制連行されて六日目。

和歌の浦の海水浴場を目一杯堪能したその日は、海の向こうに沈む夕陽を見ながらバスに揺られて京都への帰路を辿った。

京都に戻った翌日は、ウォーターガンサバゲーの優勝商品として貰った、極上スイーツ食べ放題チケットを使って皆で女子ばかりが居る高級レストランへ行ったり(武将がめっちゃナンパされた)、三成からのリクエストで猫カフェに行って癒やされたり(猫をめっちゃもふもふした)、佐助と彼方のリクエストで映画村に行ったり(武将がめっちゃ違和感なかった)して、五百年後の現代をとにかく満喫した。

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