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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第2章 武将と五百年後ノープランツアー 後



(えーと…光秀さんの後ろを狙ってるって事は、回り込むならこっちかな…)

小柄な身体な事もあって小回りが利くのだけが幸いだ。光秀を狙う敵の背後が衝けるような場所を目指していると、不意に短く高い指笛が響く。どきりとした凪が肩を反射的に跳ねさせると、ふと視界に入った三成が動き出したのを見て、得心する。

(さっきの、もしかして三成くんへの合図だったのかな)

だとしたら三成は光秀を狙う二人の敵の内、どちらかを仕留めに行く算段なのだろう。上手く行けば挟み撃ち出来ると判断し、凪は反対側へ向かうべく障害物の影から顔をちらりと覗かせ、周囲を警戒した。光秀を撃っていたのは二名。だが、敵チームは五人組である。となると残り三名が息を潜めて何処かへ隠れている。その彼らと鉢合わせした時が一番怖いなと若干怯えつつ、凪は出来るだけ短い距離の障害物を選んで進んでいった。

(でも幸村には撃たれたくない。何となく)

それは単に幸村の顔が元カレに似ているから、という完全なとばっちりだが、凪にはそんな事関係なかった。秀吉や兼続、佐助、家康は友人やお世話になっている人達、という認識であるが、生憎と幸村は今回の事件で(本能寺の一件の夜を除いて)ほとんど初対面な為、躊躇いも少ないというものだ。

(よーし、じゃあ三成くんを援護した後、幸村を倒そう)

何とも理不尽な理由でターゲットにされたなど幸村は知る由も無い。そんな中で凪が走り込んだ幾つめかの障害物の影、サーフボードの裏へやって来たと同時、見覚えのある金色の柔らかそうな髪が視界に映り、どきりと鼓動をけたたましく跳ねさせた。

「い、家康…!?」
「凪!?」

ボードの影から光秀を狙っていた家康が振り返り、彼女の姿を捉えると驚きに翡翠の眸を瞠る。咄嗟にぎゅっと銃を胸に抱えた凪が、緊張で顔を強張らせるも、隙だらけな彼女に対し、家康はどうにも動く事が出来ないでいた。

───そんな事言ってるけど徳川家康、お前凪の事撃てるのかよ?

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