• テキストサイズ

❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第2章 武将と五百年後ノープランツアー 後



「さすがは光秀さん、忍びの気配断ちを見抜くとは」
「日頃密偵の真似事などしていると、気配にはどうにも過敏になる」
「なるほど、それにしてもまるで容赦が無い猛攻だ」
「俺が撃たれてしまえば、あの娘を守る者が居なくなるだろう?」

幾つか言葉を交わし、互いに放つ水を器用に避けながら間合いを詰める。距離が開いてしまえば、その分タンクの水の消費も大きくなる為、接戦が賢明だ。そうして暫く撃ち合いをしている内、足元を撃ち抜かれてばかりの佐助が後退を余儀なくされたその先。フィールドの枠代わりとなっているブルーシートの壁に背がついた事へ、佐助がはっと息を呑むと同時、光秀が躊躇いなくトリガーを引いた。

「済まないな、佐助殿」

ばしゃ、と銃を持つ手に光秀の放った水が命中し、それと同時にアナウンスが響き渡った。

【残り八人ー!】

「くっ……無念」

佐助が無表情の中に悔しげな色を滲ませる中、光秀がすぐさま身を翻す。ばしゃ!と光秀が先程までいた場所へ水の跡がつき、影から身を覗かせた秀吉が眉間を顰めて低く零した。

「あの野郎…あっさり避けやがって」
「後はお願いします、秀吉さん」
「お、おう!任せとけ」

佐助が秀吉相手に一礼して立ち去る中、秀吉が視線を巡らせると、既に光秀の姿は何処にもなかった。相変わらず逃げ足だけは速いなと溜息を零すと、再び狙いを光秀だけに定めるべく、その場を立ち去ったのだった。



─────一方その頃、凪。

(どうしよう、光秀さんを狙う人を更に狙うって、凄く簡単そうに聞こえてめちゃくちゃ難しいんじゃ…!?)

何せフラグナンパ男達一人すら当てる事が出来なかったノーコン具合である。本ゲームは味方同士が撃った水に当たってもアウト扱いにはならないが、その隙を衝かれる可能性も十分考えられた。そろりと覗き見た光秀は優雅に攻撃を避けていて、二方向から狙われている様を目にした凪は、取り敢えず敵が居るであろう方面へ向かってひっそりと駆け出す。

/ 800ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp